ジャクソンホール2026、株はどう動く?過去6回のデータで検証【8月27〜29日】

ジャクソンホール2026、株はどう動く?過去6回のデータで検証【8月27〜29日】
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8月27日から29日にかけて、米ワイオミング州でジャクソンホール会議が開かれます。今年はとくに注目度が高く、「株が大きく動くから身構えたほうがいい」という声もよく見かけます。

ただ、実際に過去6回のデータを並べてみると、怖がられているほどは動いていません。むしろ6回のうち5回は上げています。

この記事では、まず事実を数字で確認し、そのうえで今年だけ事情が違う点と、ETFを積み立てている人が実際にやるべきことを整理します。

ジャクソンホールとは?何も決めない会議が注目される理由

ジャクソンホール会議は、カンザスシティ連銀が毎年夏に開く経済シンポジウムです。世界の中央銀行関係者や経済学者が集まって議論します。

大事な前提として、ここで金利は決まりません。政策を決めるのはFOMCで、次回は9月です。ジャクソンホールはあくまで議論の場です。

それでも市場が身構えるのは、FRB議長の基調講演があるからです。金利を動かす当事者が、いまの経済とインフレをどう見ているかを、自分の言葉でまとまった長さで話す数少ない機会になります。だから「次の一手のヒント」を探して、世界中が聞き耳を立てます。

今年のテーマは「資金決済分野における金融イノベーションとその政策的含意」。会期は8月27日(木)から29日(土)で、議長の基調講演は例年、会期中の金曜午前(米国東部時間)に行われます。日本時間では金曜の夜にあたります。

過去6回、講演当日に株価はどう動いたか

では実際どれくらい動くのか。議長講演があった日の主要指標の変動率です。

年(講演日)S&P500ナスダック100
2020年8月27日+0.17%-0.38%-0.98%
2021年8月27日+0.88%+1.01%+1.36%
2022年8月26日-3.37%-4.10%-1.23%
2023年8月25日+0.67%+0.85%-0.37%
2024年8月23日+1.15%+1.18%+1.19%
2025年8月22日+1.52%+1.54%+1.12%
当社集計。講演当日の終値ベースの変動率です

6回のうち5回がプラス。しかも直近3年は3年連続で上げています。下げたのは2022年の1回だけで、それも他の年とは桁が違います。

つまり「ジャクソンホールは荒れる」というより、ふだんは1%前後の値動きで、たまに大きく外すというのが実態に近いことになります。

過去6回のジャクソンホール議長講演当日のS&P500変動率を示したグラフ
2022年を除けば、いずれも1%前後の値動きでした(当社集計)

「3%動く」の正体は、2022年の記憶だった

ではなぜ「ジャクソンホールは怖い」という印象が残っているのか。2022年が強烈だったからです。

当時のアメリカはインフレ率が8%台という異常事態でした。市場は「そろそろ利上げのペースが緩むのでは」と期待していたのですが、パウエル議長(当時)はその期待をはっきり否定し、インフレを抑える過程で家計や企業に痛みが伴うと明言しました。

期待していた方向と逆の言葉が返ってきたので、S&P500は1日で3.37%、ナスダック100は4.10%下げました。成長株のほうが大きく下げているのがポイントで、金利の上昇は将来の利益を当てにする銘柄ほど重くのしかかるためです。

裏を返すと、大きく動くのは市場の期待と議長の発言がズレたときです。会議があるから動くのではありません。ここを取り違えると、毎年8月末になるたびに不安になってしまいます。

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今年の焦点はウォーシュ新議長の初講演

とはいえ、今年は例年と違う事情がひとつあります。5月に就任したウォーシュ議長にとって、初めての基調講演だという点です。

新しい議長は、市場にとって「まだ読み方がわからない相手」です。話し方の癖も、言葉の重みの置き方も、これまでの蓄積がありません。同じ内容でも受け取られ方がぶれやすく、それ自体が値動きの材料になります。

もっとも、ウォーシュ議長は先行きの方針を事前に示すこと(フォワード・ガイダンス)に消極的とされています。利上げ・利下げの方向をはっきり示唆する可能性は高くないという見方が多く、注目されているのは、インフレを抑える姿勢をどこまで明確に打ち出すかという点です。

現在の米国の政策金利は3.75%。物価の伸びは鈍化傾向にあり、雇用の伸びも緩やかになってきています。2022年のような「期待と真逆」の展開になる下地は、いまのところ大きくありません。

日本の投資家がむしろ見るべきは為替

ここが日本から米国ETFを買っている人にとって、いちばん実務的な話です。

円で米国株ETFを持っていると、リターンは株価の動きとドル円の動きの両方で決まります。ジャクソンホールで金利の見通しが動けば、株より先に為替が反応することも珍しくありません。

いまドル円は158円台。7月末には163円台をつけていたので、この1カ月ほどで円高方向に振れています。背景には、日銀が9月17~18日の会合で追加利上げに動くという観測があります。

つまり日本の投資家にとっては、ジャクソンホール(米国の金利)と9月の日銀会合(日本の金利)が、3週間の間に続けてやってくることになります。日米の金利差が縮む方向に材料が重なれば、円高が進みやすくなります。

円高になると、為替ヘッジなしで持っている米国株ETFは円で見た評価額が目減りします。この仕組みと、ヘッジあり・なしをどう使い分けるかは為替ヘッジあり・なしの比較で詳しく整理しています。

結論:ETF投資家がやるべきことは、ほぼない

身も蓋もない結論ですが、積み立てを続けている人がジャクソンホールに向けてやるべきことは、ほとんどありません。理由は3つあります。

①講演内容は誰にも事前にわからない

当てられない情報に賭けるのは、投資ではなく賭けです。しかも過去6回のうち5回は、身構える必要のない値動きでした。売って待つ判断は、5回のうち5回とも裏目に出たことになります。

②一時的に下げても、積立なら安く買えるだけ

仮に2022年のような日が来ても、毎月一定額を積み立てている人にとっては、その月だけ少し多めの口数を買えるという話です。VOOQQQを10年20年の前提で持つなら、8月末の1日は誤差の範囲です。

③動くとしても、動く先は自分で選べない

株が下げて債券が上がるのか、両方下げるのか、為替がどちらに振れるのか。組み合わせは事前に決まりません。備えるとしたら特定の予想に賭けるのではなく、そもそも資産を分けておくことでしか備えられません。

どうしても何かしたいなら、当日を待つよりいまの配分を確認しておくほうが実になります。米国株に偏っていないか、円と外貨のバランスはどうか。米国債券ETFの比較金ETFの選び方も、その点検の材料になります。

よくある質問

Q. 講演の前に一度売っておくべきですか?

おすすめしません。過去6回中5回は上げているので、売って待つ戦略は分が悪い賭けになります。加えて売れば課税され、買い戻すタイミングも当てる必要が出てきます。当てるべきことが2倍に増えるわけです。

Q. 講演は日本時間の何時ごろですか?

議長の基調講演は例年、会期中の金曜午前(米国東部時間)に行われるため、日本時間では金曜の夜になります。正確な時刻は当日公表されるプログラムで確認してください。なお日本の株式市場が反応するのは、その次の営業日である月曜以降です。

Q. 金利が下がると、どのETFに追い風ですか?

一般論としては、長期債ETF(TLTなど)と、利益が先の将来にある成長株の比率が高いETF(QQQなど)が反応しやすくなります。利息を生まないも、金利低下は追い風です。ただし「下がりそうだから買う」は前述のとおり当てものになります。

Q. 今年のテーマは決済や金融イノベーションですが、株には関係ないのでは?

テーマそのものが直接株価を動かすことは、あまりありません。市場が見ているのはテーマではなく、議長が景気とインフレをどう語るかです。実際、過去も議長講演の内容で相場が動いており、テーマとの関連は薄いままでした。

ジャクソンホールは、年に一度の「答え合わせ」ではなく、あくまで議論の場です。数字で見れば、身構えるほどのイベントではありませんでした。落ち着いて、いつもどおり積み立てるのがいちばん再現性の高い対応だと思います。

※ 本記事は2026年8月時点の一般的な情報です。利回りや値動きは市場環境で変わります。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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