三菱重工・川崎重工・IHIを比較|5年12倍のあと高値から3割下げた【2026年】

三菱重工・川崎重工・IHIを比較|5年12倍のあと高値から3割下げた【2026年】
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日本の重工3社、三菱重工業・川崎重工業・IHIは、この5年でもっとも大きく動いた銘柄群のひとつです。三菱重工業は5年で12倍になりました。

ところが今年に入ってからは様子が違います。3社とも年初来で日経平均に負けており、2月から3月につけた高値からは3割前後下げています。

この記事では3社の株価と配当を並べたうえで、何が違うのか、そしてETFでまとめて持つ場合の注意点まで整理します。

5年で12倍になった三菱重工業

まず長い目で見た成績です。比較のために建設機械の小松製作所と日経平均も並べます。

銘柄3年5年
三菱重工業(7011)+323.4%+1,112.3%
IHI(7013)+517.3%+635.7%
川崎重工業(7012)+205.4%+373.1%
小松製作所(6301)+58.5%+147.9%
日経平均+89.3%+109.4%
当社集計、2026年9月15日時点。株価のみで配当は含みません

3社とも日経平均を大きく上回りました。三菱重工業は5年で12倍、IHIは3年に限れば6倍を超えています。

背景にあるのは防衛関連の需要です。3社は「防衛御三家」と呼ばれ、航空機や艦艇、エンジンなどを手がけてきました。防衛費の増額が続く見通しになったことで、これまで地味な重厚長大産業と見られていた3社に資金が集まりました。

重工3社と日経平均の5年リターンおよび高値からの下落率
大きく上がった銘柄ほど、下げ幅も大きくなりました

ところが今年、3社とも高値から3割前後下げている

ここからが本題です。同じ3社を今年に限って見ると、絵が変わります。

銘柄年初来2026年高値からの下落
川崎重工業+14.3%-35.5%(3月2日高値)
IHI+0.7%-38.4%(2月10日高値)
三菱重工業-3.6%-28.8%(3月2日高値)
小松製作所+41.2%-9.5%
日経平均+26.1%-12.3%(6月25日高値)
3社とも年初来で日経平均に届いていません

注目したいのは下落幅の差です。日経平均も高値から12.3%下げていますが、重工3社は28〜38%下げました。市場全体の3倍近い下げ幅です。

同じ期間に小松製作所は年初来+41.2%で、高値からの下落も9.5%にとどまっています。重機という似た業種でも、結果はまったく違いました。

なぜここまで下げたのかを一つの理由で説明するのは難しいところです。ただ、5年で12倍になるほど期待が先に織り込まれていたという事実は残ります。期待が大きいほど、それが揺らいだときの戻りも大きくなります。

同じ「重工」でも中身はかなり違う

3社をひとくくりに語りがちですが、事業構成は違います。

三菱重工業は総合力の会社です。航空機や艦艇といった防衛に加え、ガスタービンなどの発電設備、物流機器まで幅広く手がけます。防衛だけの会社ではないぶん、他の事業の調子にも左右されます。

IHIは航空エンジンが軸です。3年で6倍を超えたのは、防衛に加えて民間航空機向けエンジンの需要が戻ってきたことが大きいとされます。旅客需要の回復が業績に効く構造で、防衛だけを見ていると読み違えます。

川崎重工業はもっと幅広い会社です。航空宇宙のほか、オートバイ、鉄道車両、船舶まで抱えています。バイクは世界の景気に、鉄道は各国の公共投資に左右されるので、防衛の比重は3社の中では相対的に小さくなります。

つまり「防衛関連を買う」つもりで3社を並べても、実際に買っているものは会社ごとに違います。年初来で+14.3%と-3.6%に分かれたのは、この違いが出た結果でもあります。

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配当はほとんど期待できない

見落とされがちなのが配当です。直近1年の実績で計算した利回りを並べます。

銘柄配当利回り
トヨタ(参考)3.14%
小松製作所(参考)2.69%
川崎重工業1.44%
IHI0.72%
三菱重工業0.68%
当社集計。株価が上がったぶん、利回りは下がっています

3社とも1%台以下です。トヨタの3.14%と比べると差がはっきりします。

これは減配したからではなく、株価の上昇に配当が追いついていないためです。重工3社は配当を受け取る銘柄ではなく、値上がりを狙う銘柄だと考えるべきでしょう。値動きが大きいのに配当の支えがない、という組み合わせになります。

防衛テックETFという選択肢と、その落とし穴

3社から選べないなら、まとめて持つ手もあります。東証には防衛関連のETFが2本あります。

日本株を対象にした513A(グローバルX 防衛テック-日本株式、経費率0.59%)と、世界の防衛関連に投資する466A(同 防衛テック、経費率0.5275%)です。

ただし、ここにテーマETF特有の落とし穴があります。

銘柄上場上場来高値から
513A2026年2月-19.4%-22.4%
466A2025年11月+0.4%-24.5%
当社集計。513Aは上場直後が高値でした

513Aは2026年2月に上場し、上場直後が高値でした。そこから2割以上下げています。

テーマ型のETFは、そのテーマが注目されている時期に設定されます。裏を返せば期待がもっとも高いところで上場しやすいということでもあります。新しいテーマETFを見かけたら、「なぜ今このテーマなのか」を一度考えてみる価値があります。この構図は先日上場した韓国半導体ETFでも触れました。

これから見るべき3つのポイント

①防衛以外の事業がどうなっているか

3社とも防衛専業ではありません。IHIなら民間航空エンジン、川崎重工業ならバイクや鉄道、三菱重工業なら発電設備。防衛のニュースだけを追っていると、業績の半分を見落とします。

②3社に分けても分散にならない

事業構成に違いはあっても、3社は同じ「防衛関連」として売買されます。実際、今年の下げ局面では3社そろって下げました。分散のつもりなら、値動きの性格が違う資産と組み合わせる必要があります。

③配当の支えがないことを織り込む

利回り1%以下ということは、株価が下がったときに配当が下支えしてくれないということです。長期で持つなら、値動きの大きさをそのまま受け止める覚悟が要ります。

よくある質問

Q. 3割下げたということは、買い時ですか?

高値から下げたことと割安であることは別です。5年で12倍になった銘柄が3割下げても、5年前より大幅に高い水準にあります。「いくらまで下げたか」ではなく「この先の受注と利益をどう見るか」で判断する対象です。

Q. 3社のうち1社を選ぶならどれですか?

正解はありません。防衛の比重を重く見るなら三菱重工業、民間航空機の回復に賭けるならIHI、事業の幅広さを取るなら川崎重工業、という考え方になります。選べないと感じるなら、それは無理に選ばなくてよい合図でもあります。

Q. 防衛テックETFと個別株、どちらがいいですか?

ETFは選択の失敗を避けられる代わりに、経費率が年0.5〜0.6%かかります。指数連動ETFの3〜5倍の水準です。また上で見たとおり、上場タイミングによっては高いところから始まることもあります。

Q. 重工株は景気に強いのですか?

防衛は国の予算で動くため景気の影響を受けにくい面がありますが、3社は防衛専業ではありません。バイク、鉄道、発電設備、民間航空機はいずれも景気や公共投資に左右されます。「防衛だから安定」とは言えない構造です。

重工3社は、5年で見れば指数を大きく上回りました。ただし今年の下げ幅が市場の3倍近かったことも同じく事実です。上がる理由がはっきりしている銘柄ほど、その理由が揺らいだときの動きも大きくなります。

※ 本記事は2026年9月時点の一般的な情報です。利回りや値動きは市場環境で変わります。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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