日本株が上がったのは銀行株だった?日経平均との差をデータで比較【2026年】
「日本株はよく上がった」と言われます。実際、日経平均は年初から28.5%上げています。
ただ、その中身を見るとまったく均等ではありません。同じ期間にトヨタは下げていますし、三井不動産は15%近く下げています。一方で銀行株は50%を超えて上げました。
9月17~18日には日銀の金融政策決定会合が控えています。その前に、この3年で何が起きていたのかを数字で整理しておきます。
日経平均は3年で+96%、では銀行株は?
まず銀行大手3社と日経平均を並べます。
| 銘柄 | 年初来 | 1年 | 3年 |
|---|---|---|---|
| みずほ(8411) | +53.2% | +82.1% | +250.4% |
| 三菱UFJ(8306) | +50.6% | +67.0% | +209.1% |
| 三井住友(8316) | +40.6% | +74.1% | +207.1% |
| 日経平均 | +28.5% | +51.9% | +96.3% |
3年で日経平均が約2倍になったのに対し、銀行3社はいずれも3倍を超えました。年初来だけを見ても、指数を20ポイント以上引き離しています。

同じ3年で、下がった側もある
「日本株が上がった」という感覚が人によって違うのは、持っていた銘柄で結果がまるで違うからです。
| 銘柄 | 年初来 | 1年 | 3年 |
|---|---|---|---|
| NTT(9432) | +9.8% | +8.9% | +2.3% |
| ソニー(6758) | -3.2% | -5.1% | +55.6% |
| トヨタ(7203) | -7.1% | +7.3% | +20.0% |
| 三井不動産(8801) | -14.9% | -4.4% | +36.2% |
日本を代表する企業ばかりですが、年初来ではNTT以外がマイナスです。指数の+28.5%は平均であって、多くの人が実感する数字ではありません。
なぜ銀行株だけ強いのか:金利のある世界
理由はほぼ一点に集約されます。金利が戻ってきたことです。
銀行の基本的な儲け方は、預金を低い金利で預かって、貸出でより高い金利を得る差額です。これを利ざやと呼びます。長らく日本ではこの差がほとんど取れませんでした。政策金利がゼロ近辺に張り付いていたからです。
日銀の政策金利はいま1.00%です。金利が上がると貸出金利は比較的すぐ上がる一方、預金金利の引き上げは緩やかです。この時間差がそのまま銀行の利益になります。しかも銀行は巨額の国債も抱えているので、そちらの利回りも改善します。
つまり銀行株の上昇は、業績が良くなったという話であると同時に、「日本が金利のある世界に戻った」ことへの評価でもあります。3年前まで、多くの銀行株は解散価値を下回る評価に甘んじていました。
逆に、金利上昇が重荷になる側
同じ金利上昇が、不動産には逆に働きます。借入で物件を買う事業なので、金利が上がると調達コストが増えるからです。加えて、不動産は「利回り商品」として国債と比べられる面があり、国債の利回りが上がるほど相対的な魅力が薄れます。
三井不動産が年初来で15%近く下げているのは、業績が急に悪化したからというより、この構造によるところが大きいと考えられます。同じニュースが、銘柄によって正反対に効くわけです。
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株価だけでなく、配当も増えている
株価が3倍になると「もう高すぎるのでは」と感じますが、配当も並行して増えています。三菱UFJの年間配当の推移です。
| 年 | 年間配当 |
|---|---|
| 2021年 | 26.0円 |
| 2022年 | 30.5円 |
| 2023年 | 36.5円 |
| 2024年 | 45.5円 |
| 2025年 | 74.0円 |
株価が上がっても配当が同じペースで増えれば、利回りは下がりません。直近1年の実績でみた配当利回りは、三菱UFJが約2.3%、三井住友が約2.2%です。3倍になったあとでも、この水準は残っています。
ETFで持つと、この差は平均に埋もれる
ここがETF投資家にとっての本題です。
日経平均に連動するETF、たとえば1321を持っていた人は、この3年で約2倍になりました。悪くない成績です。ただし銀行株の3倍は取り逃がしています。同時に、トヨタや不動産の停滞も薄まっています。
これはETFの欠点ではなく、そういう道具だという話です。当たりも外れも平均するので、大化けは取れない代わりに大やられもしません。「どの業種が伸びるか」を当てられる自信があるなら個別株、当てにいかないならETF。この線引きは、今回のような偏った相場でこそはっきりします。
日経平均そのものがなぜここまで上げたのかは日経平均が急騰した理由で整理しています。
これから買う人が気をつけること
①上がった理由が続くかを見る。銀行株を押し上げたのは金利上昇です。ということは、利上げが止まったり利下げに転じたりすれば、逆回転もありえます。「上がってきたから」ではなく「金利がどうなるか」で判断する対象です。
②すでにかなり織り込まれている。9月の追加利上げは市場でも相当予想されています。実際に利上げされても、それだけで大きく上がるとはかぎりません。「材料が出たら売られる」ことは珍しくありません。
③3社に分散しても分散にならない。三菱UFJ・三井住友・みずほは値動きがよく似ています。3つ買っても実質は「金利上昇に賭ける」一つの賭けです。分散のつもりなら、金利が上がると苦しい側も持つ必要があります。
為替の面から金利差を見たい方はドル円と介入の記事もあわせてどうぞ。
よくある質問
Q. 銀行株はもう高いですか?
3年で3倍になったのは事実ですが、その間に利益も配当も増えています。配当利回りは今も2%台です。ただ、金利上昇という追い風を前提にした株価であることは間違いありません。追い風が止まったときにどうなるかを考えておく必要があります。
Q. 日銀が9月に利上げしたら、銀行株はさらに上がりますか?
理屈のうえでは追い風ですが、市場はすでにかなり織り込んでいます。予想どおりの利上げなら反応は限定的で、むしろ「今後のペース」に関する発言のほうが影響しやすいでしょう。
Q. 銀行株を買うなら、個別株とETFのどちらですか?
銀行セクターに集中したいなら個別株か業種別ETFになります。日経平均連動のETFでは銀行の比重はごく一部なので、狙った効果は出ません。逆に「業種を当てにいかない」なら指数連動ETFのほうが素直です。
Q. なぜ日経平均が上がっても自分の持ち株は上がらないのですか?
今回のデータがまさにその答えです。指数の上昇は一部の業種が牽引していて、全銘柄が均等に上がるわけではありません。指数と自分の資産のズレは、業種の偏りから生まれます。
「日本株が上がった」の一言では、起きていることの半分も表せません。上がった理由がはっきりしている銘柄ほど、その理由が消えたときの動きもはっきりします。9月の日銀会合は、その理由が続くかどうかを確かめる機会になります。
※ 本記事は2026年9月時点の一般的な情報です。利回りや値動きは市場環境で変わります。投資判断はご自身の責任でお願いします。
