5大商社の株価と配当を比較|5年で日経平均の2〜4倍になった【2026年】
日本の総合商社は、この5年でもっとも報われた投資先のひとつでした。丸紅は5年で7.8倍、三菱商事も5.6倍になっています。同じ期間の日経平均は2.8倍でしたから、指数を大きく引き離しました。
ところが今年に入ってからは、5社の成績がはっきり分かれています。年初来で見ると、いちばん上と下で4倍以上の開きがあります。
この記事では5大商社の株価と配当を並べたうえで、なぜ差がつくのか、そしてETFでまとめて持つという選択肢まで整理します。
5年で日経平均の2〜4倍になった
まず長い目で見た成績です。5大商社と日経平均を並べます。
| 銘柄 | 3年 | 5年 |
|---|---|---|
| 丸紅(8002) | +103.9% | +685.4% |
| 三菱商事(8058) | +92.9% | +461.9% |
| 住友商事(8053) | +134.5% | +426.6% |
| 三井物産(8031) | +78.2% | +414.5% |
| 伊藤忠商事(8001) | +94.3% | +293.4% |
| 日経平均 | +96.8% | +180.2% |
5年でみると5社すべてが日経平均を上回りました。最も低い伊藤忠商事でも+293.4%で、指数の+180.2%を100ポイント以上引き離しています。
きっかけとしてよく語られるのが、2020年にバークシャー・ハサウェイが5大商社の株式を取得したことです。当時の商社株は「資源価格に振り回される、割安なまま放置された銘柄」という位置づけでした。そこから評価が一変しました。

ところが今年は、5社の間で差がついた
問題はここからです。年初来と直近1年を見ると、5社が同じ動きをしていないことがわかります。
| 銘柄 | 年初来 | 1年 |
|---|---|---|
| 三菱商事 | +36.7% | +42.3% |
| 住友商事 | +34.5% | +68.1% |
| 丸紅 | +16.5% | +46.3% |
| 伊藤忠商事 | +11.6% | +27.9% |
| 三井物産 | +8.1% | +35.1% |
| 日経平均 | +29.2% | +51.1% |
年初来で日経平均を上回ったのは三菱商事と住友商事の2社だけです。三井物産は+8.1%にとどまり、指数に20ポイント以上負けています。
「商社株」と一括りに語られがちですが、実際には別々の会社として動いています。
同じ「商社」でも中身が違う
差がつく理由は、5社の事業構成がかなり違うからです。
資源に強い会社と、そうでない会社があります。三井物産は鉄鉱石や原油といった資源の比重が高く、資源価格が下がると利益も削られます。三菱商事も資源を持ちますが、食品や自動車など非資源の事業を厚くしてきました。
一方で伊藤忠商事は早くから非資源に軸足を移した会社として知られます。コンビニをはじめとする生活消費分野の比重が高く、資源価格の影響を受けにくい代わりに、資源が高騰する局面では上値も限られます。
つまり同じニュースでも、5社それぞれで効き方が変わります。資源価格が上がれば三井物産に追い風、円安が進めば海外事業の比重が高い会社に追い風、という具合です。5社まとめて「商社株」と考えていると、この違いを見落とします。
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配当利回りは、もう高配当ではない
商社株は長らく「高配当の代表」と見られてきました。ところが直近の数字は違います。
| 銘柄 | 配当利回り |
|---|---|
| 三井物産 | 2.29% |
| 三菱商事 | 2.24% |
| 丸紅 | 2.12% |
| 住友商事 | 2.06% |
| 伊藤忠商事 | 1.91% |
5社とも2%前後に収まっています。「高配当」と呼ぶには物足りない水準です。
ただしこれは減配したからではありません。配当は増えているのに、株価がそれ以上に上がったから利回りが下がったのです。三菱商事の年間配当は2022年の52円から2025年は105円へ、4年で2倍になっています。
つまり「高配当だから商社を買う」という入り方は、いまの水準では成り立ちにくくなっています。配当そのものを重視するなら、日本の高配当ETFのほうが利回りは高くなります。
5社から選べないなら、まとめて持つ手もある
ここまで見てきたとおり、5社のうちどれが伸びるかを事前に当てるのは簡単ではありません。年初来で+36.7%と+8.1%に分かれるくらいですから、選択がそのまま成績を決めてしまいます。
当てにいかない方法もあります。商社を含む卸売業をまとめて持つETF、1629(NEXT FUNDS 商社・卸売)です。直近1年のリターンは+41.1%で、5社の中位あたりに収まっています。
経費率は年0.352%と、指数連動ETFとしては高めです。ただ「商社に投資したいが5社を選べない」という人にとっては、選択のリスクを外せるのが利点になります。逆に「丸紅の7.8倍」のような当たりも取れなくなります。
この「指数で持つと格差が平均に埋もれる」構図は、銀行株でも同じことが起きています。詳しくは日本株が上がったのは銀行株だったで整理しました。
これから見るべき3つのポイント
①資源価格がどちらに動くか
資源比重の高い会社ほど、原油や鉄鉱石の価格に成績が左右されます。5社を横並びで比べる前に、その会社が資源型か非資源型かを確認するほうが先です。
②為替の影響を受ける
商社は海外事業の比重が高く、円安は円換算の利益を押し上げます。ドル円は8月末に一時160円台へ戻りました。この動きは商社の追い風になります。
③5社に分散しても分散にならない
事業構成に違いはあっても、5社はいずれも「資源」「為替」「世界景気」という同じ土俵の上にいます。5社に分けて買っても、実質は同じ方向に賭けているのに近い状態です。分散のつもりなら、値動きの性格が違う資産と組み合わせる必要があります。
よくある質問
Q. いまから商社株を買うのは遅いですか?
5年で3〜8倍になったのは事実で、その分だけ割安さは薄れています。ただ配当も同時に増えており、利回りは2%前後を保っています。「上がったから買う」でも「上がったから買わない」でもなく、資源価格と為替の見通しをどう考えるかで判断する対象です。
Q. 5社のうち1社だけ選ぶならどれですか?
正解はありません。資源価格の上昇に賭けるなら資源比重の高い会社、景気に左右されにくさを取るなら非資源型の会社、という選び方になります。選べないと感じるなら、それは無理に選ばなくてよいという合図でもあります。
Q. 商社ETFと個別株、どちらがいいですか?
ETFは選択の失敗を避けられる代わりに、経費率が年0.352%かかり、大化けも取り逃がします。個別株はその逆です。「どの商社が伸びるか当てられる自信があるか」で決めるのが素直です。
Q. バークシャーはいまも商社株を持っていますか?
保有は継続しており、段階的に比率を引き上げてきたことが公表されています。ただし他人の売買を根拠に投資判断をすると、相手が売ったことに気づくのは数カ月後になります。判断材料のひとつにとどめるのが安全です。
5大商社は、5年で見れば指数を大きく上回りました。しかし今年に入ってからの4.5倍の開きが示すとおり、これからも5社が同じように動く保証はありません。「商社株」ではなく、それぞれ別の会社として見るところから始めるのがよさそうです。
※ 本記事は2026年9月時点の一般的な情報です。利回りや値動きは市場環境で変わります。投資判断はご自身の責任でお願いします。
