任天堂の株価はなぜ半値になった?売上2倍でも下げた理由と配当【2026年】
任天堂の株価は、2025年8月に14,655円の高値をつけました。そこから下げ続け、2026年6月には6,589円まで下がっています。高値から見て55%の下落、ほぼ半値以下です。
不思議なのは業績です。Nintendo Switch 2の発売で、2026年3月期の売上高は前の期のほぼ2倍になりました。売上が倍になった会社の株価が、半分になったことになります。
この記事では、株価と決算の数字を並べて「なぜ下がったのか」を整理し、配当とETFでの持ち方まで確認します。
高値から一時55%下げた任天堂
まず株価の動きです。
| 時点 | 株価 | 高値からの変化 |
|---|---|---|
| 2025年8月18日(高値) | 14,655円 | - |
| 2025年12月末 | 10,595円 | -27.7% |
| 2026年6月26日(安値) | 6,589円 | -55.0% |
| 2026年9月18日 | 8,339円 | -43.1% |
6月の安値からは26.6%戻していますが、それでも高値より4割以上安い水準です。
同じゲーム・エンタメ関連の銘柄と並べると、任天堂の弱さがはっきりします。
| 銘柄 | 年初来 | 1年 | 5年 |
|---|---|---|---|
| 任天堂(7974) | -21.3% | -36.4% | +56.0% |
| ソニーグループ(6758) | -8.1% | -16.6% | +50.1% |
| コナミグループ(9766) | -1.3% | -3.7% | +202.5% |
| バンダイナムコホールディングス(7832) | +33.9% | +13.5% | +87.3% |
| 日経平均 | +29.2% | +43.5% | +113.2% |
日経平均が年初来+29.2%と大きく上げた年に、任天堂は-21.3%です。ゲーム業界全体が売られたわけではなく、任天堂が特に売られたことがわかります。

売上は2倍、それでも株価が下がった理由
決算の数字を3期並べます。
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 営業利益率 | 純利益 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 1兆1,649億円 | 2,825億円 | 24.3% | 2,788億円 |
| 2026年3月期 | 2兆3,130億円 | 3,601億円 | 15.6% | 4,240億円 |
| 2027年3月期(会社予想) | 2兆500億円 | 3,700億円 | 18.0% | 3,100億円 |
売上高は+98.6%とほぼ倍増しましたが、営業利益の伸びは+27.5%にとどまりました。営業利益率は24.3%から15.6%へ、大きく下がっています。
ゲーム機本体は利益が薄い
理由の一つは売上の中身です。新しいゲーム機が出た年は、本体(ハード)の売上が大きく膨らみます。ところが本体はソフトに比べて利益が薄く、売れば売るほど利益率は下がりやすくなります。
任天堂の稼ぎ頭は本来ソフトです。本体が行き渡ったあとにソフトがどれだけ売れるかで利益が決まるため、「売上2倍」は株価にとってそれほど良いニュースではなかったと言えます。
今期は売上も純利益も減る予想
2027年3月期の会社予想は、売上高が-11.4%、純利益が-26.9%です。Switch 2の販売計画は1,650万台で、前期の1,986万台を下回ります。
さらに任天堂は、Switch 2の値上げを発表しました。国内価格は2026年5月25日から49,980円が59,980円に、米国は9月1日から449.99ドルが499.99ドルになっています。値上げは利益率を支える一方で、販売台数が落ちるのではないかという心配も呼びました。
4〜6月期(第1四半期)は売上高が前年同期比-9.5%の一方、営業利益は約2.5倍の1,425億円でした。ただし一時的な要因も含まれると報じられており、この数字だけで流れが変わったとは言い切れません。
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メモリ高騰の「裏側」にいた任天堂
もう一つ、2026年の相場で見逃せないのがメモリ価格の高騰です。データセンター向けの需要が急増し、メモリの値段が大きく上がりました。
メモリを作る側から見れば追い風です。キオクシアホールディングス(285A)の株価は年初来+423.0%、約5倍になりました(それでも6月の高値からは半値まで下げています。詳しくはキオクシア株の急落を整理した記事で触れました)。
ところが、メモリを買って製品を作る側には逆風です。ゲーム機はメモリを大量に使います。部材の値上がりがSwitch 2の採算を圧迫するのではないか、という懸念が株価の重しになったと指摘されています。
同じ「メモリ高騰」というニュースでも、売る側と買う側で株価の反応は正反対になります。任天堂は後者の立場でした。
配当は大きく増えたが、今期は減る見通し
株価が下がる一方で、配当は増えました。
| 決算期 | 中間 | 期末 | 年間 |
|---|---|---|---|
| 2024年3月期 | 80円 | 131円 | 211円 |
| 2025年3月期 | 35円 | 85円 | 120円 |
| 2026年3月期 | 42円 | 177円 | 219円 |
2026年3月期の年間配当は219円で、9月18日の株価8,339円で割ると配当利回りは2.63%です。
配当は業績でそのまま上下する
任天堂の配当は、金額を先に決める方式ではありません。2026年3月期の期末から配当方針が変わり、次の2つのうち高い方が年間配当になります。
- 連結営業利益の40%を配当の総額とした金額
- 配当性向60%を基準とした金額
つまり利益が減れば配当も減ります。2027年3月期の会社予想(営業利益3,700億円、純利益3,100億円)をこの方針に当てはめると、年間配当は160円前後になる計算です(当社試算)。今の株価なら利回りは2%弱まで下がります。
「2.63%」という数字は去年の好業績の結果であって、今年も同じ額がもらえる約束ではありません。配当目的で見るなら、この点は必ず押さえておきたいところです。
中間配当の基準日は9月30日
任天堂は3月末と9月末の年2回配当です。今年の中間配当を受け取るには、9月28日(月)の取引終了までに買っておく必要があります。中間配当の額は、上半期の営業利益の40%を基準に決まります。権利落ちで株価がどう動くかは9月の権利落ちを実測した記事をご覧ください。
任天堂の株価推移と配当の履歴は、ETFショッピングの任天堂ページでまとめて確認できます。
ETFで任天堂を持つという選択肢
任天堂1社に集中するのが不安なら、任天堂を多めに組み入れたETFで持つ方法もあります。
| ETF | 任天堂の比率 | 経費率 |
|---|---|---|
| NEXT FUNDS 情報通信・サービスその他(TOPIX-17)上場投信(1626) | 9.43%(2位) | 0.352% |
| グローバルX テック・トップ20-日本株式 ETF(2854) | 7.59%(5位) | 0.3025% |
1626は通信やサービス、ソフト関連の大型株をまとめたETFで、年初来で+17.8%でした。任天堂が-21.3%だった年でも、ほかの組入銘柄が支えた形です。
ただし、任天堂の比率が1割未満ということは、任天堂が回復しても値上がりの効果も1割程度しか効かないということでもあります。「任天堂の復活に賭けたい」のか「業種全体に広く乗りたい」のかで、選ぶべきものは変わります。
これから見るべき3つのポイント
①値上げ後もSwitch 2は売れるか
今期の販売計画1,650万台は、値上げ後の需要を前提にした数字です。四半期ごとの販売台数が計画のペースに乗っているかが、最初の確認ポイントになります。
②ソフトの比率が上がるか
本体が行き渡ったあと、利益の中心はソフトに移ります。営業利益率が2025年3月期の24.3%に近づいていくかどうかは、ソフトの売れ行き次第です。
③メモリ価格が落ち着くか
部材の値上がりは任天堂の努力だけでは止められません。メモリ価格の動きは、任天堂の利益率を占う外部の手がかりになります。
よくある質問
Q. 半値まで下げたのだから、もう底ですか?
株価が下がったことと割安であることは別の話です。今期は会社自身が減収・減益(純利益)を予想しています。6月の安値からは26.6%戻していますが、底だったかどうかは、この先の販売とソフトの売れ行きが決めることになります。
Q. 任天堂の配当利回りはどのくらいですか?
2026年3月期の年間配当219円で計算すると、9月18日時点で2.63%です。ただし任天堂の配当は利益に連動するため、会社予想どおりなら今期は160円前後(当社試算)に下がり、利回りも2%弱になります。
Q. 任天堂の株は100株いくらで買えますか?
9月18日の終値8,339円なら、100株で約83万円です。新NISAの成長投資枠で買うこともできます。まとまった金額が必要な点は、ETFとの大きな違いです。
Q. ソニーと比べるとどうですか?
ソニーグループも年初来-8.1%と下げていますが、任天堂ほどではありません。ソニーはゲームのほかに音楽、映画、半導体(イメージセンサー)など事業が幅広く、ゲーム機1台の売れ行きに業績が左右されにくい構造です。任天堂はその逆で、ゲーム専業に近いぶん、ハードの世代交代の影響をまともに受けます。
任天堂は「売上2倍」と「株価半値」が同時に起きた、少し珍しい1年を過ごしました。数字を並べてみると、売上の中身と利益率、そして部材の値段という、ヘッドラインには出にくい部分が株価を動かしていたことがわかります。
※ 本記事は2026年9月時点の一般的な情報です。利回りや値動きは市場環境で変わります。投資判断はご自身の責任でお願いします。
